初フル・リタイアを経験し、振り返ってみると、自分が、初心者のオーバートレーニングの典型のように思えてきた。
走る哲学者・原章二氏の本、『マラソン100回の知恵』を今になって読み返してみると、まるで自分のことを言われているような記述を見かけた。
じっさい、ハーフで一時間三十分台の記録を出す人のほうが、フルで失敗する可能性が高い。ウサギとカメの比喩は、フルにおいて残酷なまでに真実である。しかもフルを走るウサギは、途中のひと休みで遅れるのではなく、故障をしてリタイアしてしまう。自分の場合がそうだった。初ハーフを一時間三十六分で走り、股に違和感を感じていたにもかかわらず、一週間後に初フルに挑戦してめでたく故障してリタイア。その後の一年を完全に棒にふった。
私も2回目のハーフで(740m足りないコースではあったが)、一時間三十分台を出し、案外いけるもんだと過信してしまったところもないではない(笑)。
ひとりで走る市民ランナーは、なまじ元気であればあるほどに意気込んで練習し、意気込んでやればやるほど、やり足らないのではないかと思い、よけい意気込んでやりすぎる。あれだけやったのだから頑張らなくてはいけないと思って、レースで無理をする。あれだけやったのだから記録が出るはずだと思って、はじめから飛ばして失敗する。初フル前の猛練習は、まだできあがっていないからだにダメージを与えるだけでなく、自分で自分にプレッシャーをかけてろくなことはないと自分の経験からもつくづくそう思う。
これも、まさにという感じである。2月は意気込んで練習してしまい、身体にダメージを与えてしまったのだろう。そのつけがこうして今になって出てきているのである。原氏は、初フル完走のための安全な月間走行距離は150キロ前後だとしている。
最近、マラソンのブログを書かれている方が多い。それらの中には、日々の練習内容、走行距離など細かく書かれている。そういうのに影響を受け、自分もやらなくてはいけない・・・できるだろうと変にのめり込んでしまったというのもある。元来、熱中しやすい質なのだ(笑)。言うまでもないことだが、そういうブログを書かれている方々は、百戦錬磨の中~上級者の方々なのである。
原氏の本には、ご自身の経験から導き出された名言が随所に見られるが、その要点は無理せず、気長に・・・ということにつきると思う。そして、最後にその本をこう結んでいる。
余計な知恵などつけず、その時々の体調でベストを尽くし、からだとこころを気持ちよく自然に触れ合わせるのがいちばんだ。そうすれば、どこから来て、なにであり、どこへ行くのか分からないいのちが、いま自分に宿っていることを実感する。その実感は各人の日常生活と仕事にプラスにこそなれ、決してマイナスにならない。それどころか、そこからきっとなにかが開ける。
いい言葉だ。
先日の戸田・彩湖は、同じコースをフルとウルトラマラソン両方のランナーが入り混じって走っていた。驚いたのが、私より明らかに年上の方々がウルトラを走っていたことだ。それだけでなく、フルのランナー以上のペースで走っているウルトラのランナーを何人も見かけた。それも、あきらかに私より年上の方であった。
まだ40代前半の、ランニングキャリアをスタートさせたばかりの私としては、楽しみは今後にとっておいて、あくまでもいくつかの趣味の中の一つとして、無理をせず、気長に、50歳,60歳になってもこの趣味が続けられるようにしたいものである。60歳でサブスリー達成出来たら、素敵なことではないか。 まだまだ先は長い。
マラソン100回の知恵―サブフォーをめざす市民ランナーへ (平凡社新書)
- 作者: 原章二
- 出版社/メーカー: 平凡社
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